糖尿病合併妊娠とは?

妊娠前から糖尿病と診断されている方が、妊娠をする場合を言います。
妊娠すると胎盤から分泌されるホルモンの影響により、血糖値が下がりにくくなります。
もともと糖尿病をお持ちの方は、ご自身の体を守ること、また赤ちゃんを安全に妊娠、出産、出産後の授乳期を過ごすために、望ましい血糖値にコントロールする必要があります。

糖尿病合併妊娠の診断基準
1)妊娠前にすでに診断されている糖尿病
2)確実な糖尿病網膜症があるもの

妊娠中の血糖の管理はどのくらい?

空腹時血糖  95㎎dl未満
食後1時間後の血糖 140㎎/dl未満

または

食後2時間後の血糖 120㎎/dl未満
HbA1c 6.0~6.5%未満

※低血糖や妊娠週数などを考慮し、個別に設定する。

妊娠する前に準備できることは?

糖尿病のある女性は、お母さんと赤ちゃんを守るために、計画的に妊娠をする必要があります。

1.血糖値を十分にコントロールしましょう。
2.糖尿病合併症の管理をしましょう。
3.栄養バランスと適切なエネルギー量の食事を心がけましょう。
4.適切な体重を目指しましょう。
5.薬の相談をしましょう。

1.血糖値を十分にコントロールしましょう。

血糖測定のイラストお母さんの合併症予防、赤ちゃんの奇形や発育障害を防ぐためには、妊娠前から望ましい血糖値にコントロールする必要があります。妊娠前のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)(正常値:4.6~6.2%)の理想値は6.2%未満ですが、一般的には7%未満が推奨されています。妊娠初期のHbA1cが8.4%以上になると20~30%の胎児が奇形を合併する可能性があるといわれています。
※HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、血糖コントロールの指標となる数値。過去1~2ヵ月の血糖の平均的な値を表します。

2.糖尿病合併症の管理をしましょう。

糖尿病の合併症とは、糖尿病網膜症・糖尿病性腎症を指します。糖尿病性網膜症がある場合には、妊娠が可能かどうか一度専門医に相談をしましょう。重症の場合は、眼科医と治療の相談が必要です。
しかし、妊娠前にすでに糖尿病腎症が進行している揚合には、妊娠により悪化する可能性もあるため妊娠はお勧めできません。主治医と相談しましょう。
合併症の詳細はこちらから

3.栄養バランスと適切なエネルギー量の食事を心がけましょう。

赤ちゃんが発育し、お母さんと赤ちゃんが健全に妊娠を維持するために、栄養バランスがよく、適切なエネルギー量が確保できる食事を心がけましょう。妊娠中は食後の血糖値が上がりやすいため、1日3食の食事を分割して、4~6回食にする工夫も必要です。
また、肥満や妊娠中の過度な体重増加は、赤ちゃんが大きくなりすぎる巨大児の原因になります。エネルギー制限が必要な場合もあります。具体的な食事量に関しては、主治医の先生や管理栄養士と相談しながら、食事を調整していきましょう。

4.適正な体重を目指しましょう。

体重計に乗る肥満は不妊の原因の一つとして注目されています。また、肥満はインスリンの働きを悪くさせるため、血糖コントロールを悪くさせます。
妊娠中の体重増加の目安は、妊娠前の体格により異なります。肥満度が標準的な人(BMI=18.5~22.4)は、7~12㎏、痩せの人(BMI=18.5未満)は9~12㎏の体重増加が勧められています。しかし肥満の方(BMI=25以上)は、妊娠中の体重増加が4~6㎏が目標となります。

自分のBMIを計算してみましょう!
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

5.薬の相談をしましょう。

糖尿病の治療でお母さんが薬を飲んでいる場合、飲んだ薬の一部がおなかの赤ちゃんに移行してしまいます。妊娠前から妊娠中、出産後の授乳の時期は、インスリン注射による治療方法に切り替える必要があります。また高血圧や脂質異常症の治療をされている場合も同様です。
糖尿病を治療されている方が妊娠を希望する場合は、前もって主治医と相談しましょう。
薬での治療だけではなく、食事や運動療法も一緒に行い、お母さんと赤ちゃんが健やかな出産を迎えられる準備を始めましょう。
栄養相談についてはこちらのページをご覧ください。

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